日々是ゆらり

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手放しの気配(9月15日)

買い取り業者のひとが来て、父の色々コレクションを査定していった。

最初に家の中を案内して、見てもらいたいものを伝えると、数が多くて一回では見切れないので、二回に分けて来るという。

査定士は20代半ばくらいの若い男性。

作業の流れの説明がよどみない。

何回も同じ説明をしているからすっかり覚えてしまったんだろう。

どういうきっかけでこの仕事に就いたのかなぁと想像する。

トラブル防止のために、査定中の音声はすべて録音するそうだ。

買い取り業界、色んなエピソードがあるんだろう。

業界裏話みたいなの、聞いてみたい。

 

早速作業がはじまる。

今日は父のコレクションの一部と、母のアクセサリーを見てもらう。

その間ネットや動画を見たりして過ごした。

 

1時間半ほどで作業が終わる。

値段の付くものと付かないものがあった。

父は集めることは大好きだったが、マニアックなものへの熱意は無かったようで、一般的に流通しているものがほとんどだったらしい。

お宝と呼べるものはなかった。

 

母のアクセサリーは、形見として取っておくこともできたけれど、サイズ的にもデザイン的にも、今後の出番はなさそうなので手放すことにした。

少し迷ったが、取っておいても結局しまい込んでおくなら、有効に使ってもらったほうがいい。

今まで見向きもしなかったものに、今後惹かれる可能性はほぼないだろう。

 

次回の予約をして、今日の作業終了。

作業後に、サービスセンターからアンケートの電話がかかって来た。

今日の査定士の対応がどうだったか、10点満点中何点かと聞かれる。

 

査定する側も常に査定されている。

作業のたびに毎回これをされているのか彼らは。

査定士さんたちは慣れっこかもしれないが、私だったらキツイなぁと思う。

 

 

夜遅く、激しめの雨が降った。

ドドド、と重たい音が響くほどの量だった。

 

天井に雨漏りの染みを発見してしまう。

見たくなかった。

でも、どう見ても雨漏りだった。

 

不思議なもので、家を手放す方向に話を進めてから、色んなところにガタが来はじめた。

キッチンの出窓のブラインドは壊れたし、換気扇の調子もおかしい。

家が持ち主の気持ちを察したかのように。

 

この期におよんで雨漏りとは、不安で萎える。

 

片付けのピッチを上げる必要がありそうだ。

 

押し入れにしまってある古いひな人形や五月人形、羽子板。

母のでっかい油絵。

昔のアルバム。

 

まだまだ大物が控えていると思うと、ため息しか出てこない。

 

自分は何も残さず、身軽に生きる。

そんな思いをあらためて強くする。