久しぶりの実家は思ったより手ごわかった。
2ヶ月ぶりのような気がしていたけど、ゴールデンウイーク以来実に3ヶ月ぶり。
前回の滞在時に除草剤をまいておいたものの、庭に長い草が伸びているのが夜目にもわかる。
明日はアイツらと1人でたたかわなければならんのか。
これが最初のげんなり。
家の中は、この猛暑に3ヶ月締め切りだったので、空気がもわんとしていた。
家中のエアコンをつけたものの、少しは空気を入れ替えたい。
夜なので雨戸を開けると音が響いてしまうため、ひとまずキッチンの出窓を開けることにした。
ブラインドを上げ、窓を左にスライドする。
夜風がほんのり入ってきた。
5分ほど開け放してから閉め、ブラインドを下げようとしたら、下がらない。
左右に引っ張ってみても動かず。
ネットで、「ブラインド 下がらない」で検索し、出てきた方法を片っ端から試したけれど、微動だにしなかった。
30年近く前に付けたブラインド。
こわれた のか。
こんな夜中に。
窓なんか開けなきゃよかった。
本日2回目のげんなり。
カーテン的な目隠し用の何かを作らなければ。
バスタオルか?いやサイズが合わない。
2階に未使用の障子紙のロールが何本かあったのを思い出した。
障子紙なんて使い道に困るし、ずっと放置していたのだが、まさか日の目を見る日が来るとは。
少なくともバスタオルよりはましだろう。
丸まった障子紙を逆向きに巻いてまっすぐにし、ハサミでてきとうに切ってガムテープで窓枠に張り付ける。
この時点で、職場から2時間半かけて帰ってきて、まだ椅子にも座っていなかった。
晩ごはんもお風呂もお酒もまだ。
ほこりだらけの床にクイックルワイパーをかけた後、ゆっくりする余裕もなく、障子紙の切り貼りをするはめになっている。
ままならない、あぁままならない。
泣きたくなる。
まじめに仕事して帰って来たのになんてひどい仕打ちなんだろう。
なんだかムシャクシャしたのでビールを飲んで悪態をつきながら作業した。
もうイヤだ、限界、管理しきれない。
声に出して言った。止まらなかった。
今回は夫抜きで自分だけ帰ってきているので、草ぼうぼうも虫も家の中の故障も、全部ひとりで対処しなければならないことが、絶望的な気分に拍車をかけた。
怒りにまかせて雑に切った障子紙の、雑な日よけが完成。
時刻は11時をまわっていた。
不思議なことに、日よけが完成したら、なぜだかすーっと気持ちがおさまった。
窓枠から垂れ下がった障子紙は、雑なんだけどよく見たら意外と悪くないんじゃないか。
さっきまでのやり場のない怒りがうそのように引いていく。
モノが壊れたら代用品をあてがえばいいのだし、モノは自分に文句は言わない。
これがひと相手、例えば介護とかだったら、相手の気持ちも絡んでくるし、予測のできない行動に翻弄されるだろうし、比べものにならないくらい大変なことだろう。
ブラインドが壊れたくらいで絶望するなんて、甘かったな、なんて急に物分かりが良くなるほどに心の余裕がでてきた。
何だったんだろう。
実家を管理し続けることへの疲れと正直な気持ちを、ただただ外に吐き出したかったのかなぁ。
母が亡くなって4年、だいぶ中も片付いてきたし、そろそろ潮時なのかも。
何だかよく分からないけれど、ひとり感情のアップダウンが激しい夜で、どっと疲れた。