日々是ゆらり

ゆっくりゆらゆらたのしく

洗礼(8月2日)

久しぶりの実家は思ったより手ごわかった。

2ヶ月ぶりのような気がしていたけど、ゴールデンウイーク以来実に3ヶ月ぶり。

 

前回の滞在時に除草剤をまいておいたものの、庭に長い草が伸びているのが夜目にもわかる。

明日はアイツらと1人でたたかわなければならんのか。

これが最初のげんなり。

 

家の中は、この猛暑に3ヶ月締め切りだったので、空気がもわんとしていた。

家中のエアコンをつけたものの、少しは空気を入れ替えたい。

夜なので雨戸を開けると音が響いてしまうため、ひとまずキッチンの出窓を開けることにした。

ブラインドを上げ、窓を左にスライドする。

夜風がほんのり入ってきた。

 

5分ほど開け放してから閉め、ブラインドを下げようとしたら、下がらない。

左右に引っ張ってみても動かず。

ネットで、「ブラインド 下がらない」で検索し、出てきた方法を片っ端から試したけれど、微動だにしなかった。

 

30年近く前に付けたブラインド。

こわれた のか。

こんな夜中に。

窓なんか開けなきゃよかった。

 

本日2回目のげんなり。

カーテン的な目隠し用の何かを作らなければ。

バスタオルか?いやサイズが合わない。

 

2階に未使用の障子紙のロールが何本かあったのを思い出した。

障子紙なんて使い道に困るし、ずっと放置していたのだが、まさか日の目を見る日が来るとは。

少なくともバスタオルよりはましだろう。

 

丸まった障子紙を逆向きに巻いてまっすぐにし、ハサミでてきとうに切ってガムテープで窓枠に張り付ける。

 

この時点で、職場から2時間半かけて帰ってきて、まだ椅子にも座っていなかった。

晩ごはんもお風呂もお酒もまだ。

ほこりだらけの床にクイックルワイパーをかけた後、ゆっくりする余裕もなく、障子紙の切り貼りをするはめになっている。

ままならない、あぁままならない。

泣きたくなる。

 

まじめに仕事して帰って来たのになんてひどい仕打ちなんだろう。

なんだかムシャクシャしたのでビールを飲んで悪態をつきながら作業した。

もうイヤだ、限界、管理しきれない。

声に出して言った。止まらなかった。

 

今回は夫抜きで自分だけ帰ってきているので、草ぼうぼうも虫も家の中の故障も、全部ひとりで対処しなければならないことが、絶望的な気分に拍車をかけた。

 

怒りにまかせて雑に切った障子紙の、雑な日よけが完成。

時刻は11時をまわっていた。

 

不思議なことに、日よけが完成したら、なぜだかすーっと気持ちがおさまった。

窓枠から垂れ下がった障子紙は、雑なんだけどよく見たら意外と悪くないんじゃないか。

さっきまでのやり場のない怒りがうそのように引いていく。

 

モノが壊れたら代用品をあてがえばいいのだし、モノは自分に文句は言わない。

これがひと相手、例えば介護とかだったら、相手の気持ちも絡んでくるし、予測のできない行動に翻弄されるだろうし、比べものにならないくらい大変なことだろう。

 

ブラインドが壊れたくらいで絶望するなんて、甘かったな、なんて急に物分かりが良くなるほどに心の余裕がでてきた。

 

何だったんだろう。

 

実家を管理し続けることへの疲れと正直な気持ちを、ただただ外に吐き出したかったのかなぁ。

母が亡くなって4年、だいぶ中も片付いてきたし、そろそろ潮時なのかも。

 

何だかよく分からないけれど、ひとり感情のアップダウンが激しい夜で、どっと疲れた。